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2013年01月24日

The Evolution of GA-GO Vol.7

シリーズでお届けして参りましたThe Evolution of GA-GOもいよいよ最後のメンバーになります。
本業は有名すぎるBUILDER、そしてGA-GOではキーボードを担当しているSetsuna Infinityの登場です。

The Evolution of GA-GO Vol.7

■まずキーボーディストとしてGA-GOをやっていて、工夫しているところや苦労などあれば教えてください。

のっけからマニアックな回答になってしまって恐縮なのですが、GA-GO SL Ver.の逸話として、2008年当時、「キーボード担当の方(女性アバタ―)がLIVE中に生着替えを偶発的にしてしまい、会場が異様に盛り上がった」というものがあります。
2011年8月のSL24公演にキーボード担当の代理としてお話を頂いた際、まず最初に思い浮かんだのは、こういった「お色気」(w?)担当としてのイメージでした。
バンドであるGA-GO SL Ver.の、1メンバーとしての「キャラクター」、つまりは映画やマンガに出てくる「キャラクター」と同義の モノですがこれがSecond Life内のどんなジャンルであっても、他のユーザー様に覚えてもらう事の出来る、実際に効果のある 「要素」である事は解っていましたので、これまでのGA-GO SL Ver.の在り方と共に実践していければ良いなと考えました。
本業はBuild業ですので、そのジャンルでの「見せ方」とは違ってきて当然ではあるのですが総合的な「実在のキャラクター」、 例えば、俳優さんが本業とは別にも文筆活動をする等にも似てくると思いますが、そういったイメージで「キーボード担当として 参加しているSetsuna Infinity」を見て頂けると、嬉しく思います。
 
The Evolution of GA-GO Vol.7
 
■見かけないショルダーキーボードですが、使用楽器について教えて下さい。
 
はい。完全に自作です、と言いたいところですが違いますね(汗
市販されているMODIFY可能商品(JBXさん製)を利用させて頂き、Second Lifeならではの「自分専用ショルキー」に改造しています。
こういった工夫の出来る「商品のパーミッション設定」をされておられるクリエイターさんのクリエイトは購入者(ユーザー)の希望等を実現化する、新しいクリエイト意欲への「きっかけ」が込められていると理解しています。
追加要素として自作のレーザー光線発生器(通常Prim製)を加え、LIVE構成やバンドメンバーの存在感といったあたりに+アルファになるように心掛けてみました。
ショルキーへの改造中は、とても楽しかったです。
更に追加要素として「デコ(盛り)」も加わってきますのでお楽しみにw
 
The Evolution of GA-GO Vol.7 

■それでは本職のビルダーとしてGA-GOのステージの方も担当されていますが、特徴や気をつけている所等あれば教えて下さい。
 
はい。
Second Life内での建築請負業を、2007年より継続して生業とし、SL内建築の在り方についても常時考察・研究を行ってきました。
ステージ実装については、2008年よりほぼ継続的且つ専属的にGA-GO SL Ver.に協力しています。
ステージに使用する照明器具についても、それを専門的に販売しているSL内業者様は多数おられますが、これらの業者様方が販売していない、特殊な機構等をステージ本体と合わせ、製作実装する事も担当しています。
 
非常に長くなるのですが、これまでにGA-GO SL Ver.のステージBuildにおいて最も留意してきた内容を、大きく分類して述べたいと思います。
経験則に基づき述べていますが、若干ブラックな物言いになる部分もあるかと思います。ご容赦ください。
異論等ありましたら、実証結果と合わせ提示頂ければ私にも勉強になりますので、常に募集中です。
宜しくお願いします(笑)。 
 
 
 (一).(複数SIMを使用する)「SIM限界性能」を考慮した「造り」
  
まずはこの部分ですが、2012年にLinden Labによって導入されたPath Finding設定(※1)
これによる影響で前提が大きく崩れたのは非常に遺憾に思っています。
現在では、原因の特定が困難な「隣接SIM不可視現象」が多々発生するため、よりシビアな「1SIMでの限界性能を考慮した会場設定」が求められていると思っていますが、なぜ「複数SIMを使用した」会場作りだったのか?というあたりをご理解頂くために、少し詳しく述べてみたいと思います。
  
1SIMでの限界性能がそう高くない事は、過去~現在もSLでは常識とされています。
(実質SIM内Avatar数=30程度から不具合が顕著に現れ始めます。
最近ではこの限界性能は向上している部分もありますが100アバターが快適に滞在することのできる環境か?というとそうではなく、やはり100点満点中60点というギリギリの【及第点】を何とか工夫でクリアできる、というレベルでしょう。)
クライアント(ユーザー)側PCの性能やネットワーク回線の伝送許容量が上がれば上がるほど、更に厳しい状況となる事も確認されていて、1SIM環境で高度なリアルタイムのアーティストパフォーマンスを実現する事はほぼ不可能であるという認識は前提です。
まぁつまり、
  
【イベント運営側も来場者様側も、普段の【SL生活】(?ヘンな言葉かな?w)のまま無頓着にアバターが多く集まるイベント会場に出向いて楽しめる、とは思わない方が良い】
  
っていう事になります。

アバターレンダリングコスト(ARC)やアバター装着スクリプトの容量、使用Viewerの設定等、これらがその「普段通りのままイベント会場に行っちゃうととんでもない事になる」項目です。
RLだとイベントにはもちろん着飾ったりして行く、もあると思うんですが、SLでは同じ事するともう(RLでいう)黒服や警備員飛んできますよ、って事なんですね。
  
この辺り、SLが便利になったり表現が豊かになってくると忘れがちですがむしろ「誰かの経験に基づき、実証蓄積され、理解し、引き継いだ内容」は、言葉として適切かどうかも考慮した上で、正しく広めていかないといけない「情報」なんだと思っています。
  
さて、Second Life内外でよく「勘違い」されているので特に言っておきたいのですが、
  
「2SIM~4SIMを使った大きな会場『だから』すごい」といった、リアルでのイベント成功の大きな指標の一つともなっている
「会場規模そのものを指した評価」も、実はSecond Life内においては妥当ではありません。
こう聞くと皆さん「え~w」って思うかも知れないですね。
  
これはどういう事かというと、来場者様にどういったパフォーマンス(イベント)を「魅せる」のかを、運営/Builder/アーティスト等の関係者が一丸となって突き詰め、来場者様の満足を十分に引き出す事を第一義とした結果、採用されるむしろ「条件」ともいえる項目が、「複数SIMの使用という方針」だったのよ、
  
という事なんですね。
  
実際にイベントを主催してきた、または運営側で実働された方はご存じとは思いますが、経験則的には、最低でも演者側/来場者側の2SIMでの会場構成(X-Y軸同期構成)、観客動員数の向上を目指すのであれば演者側1/来場者側3の4SIMでの会場構成(X-Y軸45度振り構成)を採用する事が
  
「来場者様の体験環境」の整備向上に最も重要な根幹部分、つまり来場者様を分散誘導する事により、SIM負荷を含め色々なものを分散配置する適切な処置。
  
の一つであったと言える、と思います。
GA-GO SL Ver.では2008年の「ありがとうMagSL Tokyo2」、
2010年の「2010 GA-GO SL ver. CONCERT」で4SIM LIVEを実施、PEACE FESTA EVENTやFishLand SIMでのLIVEをはじめとする様々なSIMで、2SIM LIVEを敢行しつづけてきました。
  
現在では、最初に述べたような状況により、【来場者様の満足を十分に引き出す事を第一義とした結果、採用される、むしろ「条件」ともいえる項目】には

「1SIMでの限界性能を考慮する方針」が当たる事になります。
  
一見逆転しているように見えますが、実は考慮内容(目的)は一切変わってない、という事です。
  
  
 (二).ステージ構成部材の「簡略化」と効果性の「マッチング」
  
LIVEを見に来られた、来場者様側のPC性能によっても、本来は同一であるはずのステージその物や効果(エフェクト)の「観え方の差」が発生します。
更に先ほど述べた、来場者数による、各来場者様自身への影響も出る為、無視することは出来ません。
これらを解消し、ほぼ全ての来場者様に同じような空間(意図した観賞環境)を体験して頂くには、会場に使用しているオブジェクトの種別やテクスチャーの解像度/数量等、読みこみに必要なデータの「絶対量」を、いかに少なく出来るか、また、この構成部材による、リアリティ表現とヴァーチャルならではの表現の、バランスの良いMixingが必要になってきます。
SLの多くのステージでは、この作業部分(Mixing、または作業に必要な、汎用性の高い部材の開発等)がかなりの頻度で、省略もしくは熟考される事なく行われ、良くある感じとしては
  
「リアルと同じものが置いてある! Prim数は…7500以上(笑)?!」
(※Full SIMの最大許容Prim数は15000です。)  
「軽くて観賞しやすい! …何? SLってプレ●テ1Lv?w」
  
といったものになってしまう事が多かった歴史があります。
逆説的に述べれば、誰もが「そうこだわる事がなかった」その部分にGA-GO SL Ver. が当初より目指した物に被せて留意し構築を実践して来た事は、GA-GO SL Ver. の一連のステージの持つ「特徴」であると思います。
  
これについては、私自身がSL内で請負実装してきたBuild群に一貫して採用して来た基本的な考えにも通じています。
SL内ビジネスとして最もポピュラーな販売ジャンルでの「店舗施設」を引き合いに出しますが、
  
来客(集客)⇔販売物 の関係性をいかに良好な物とするか?
  
が、施設実装の際に最も重視するべき条件であり、店舗建築デザインそのものは、販売物・ブランドのコンセプト部分等の表現を含みつつも(雰囲気の創出)、あくまでも「背景である」と考える必要がある。
  
というのと同じ論理です。
表現その物にテーマ性があるテーマシム等でのBuild指針とは、全く、明確に、「主たる要素」が異なるというと分かりやすいでしょうか?
もちろん、どちらかの要素のみだけでSL内Buildが存在しているわけではありませんが。
  
Stageはあくまでアーティストの背景に存在する物であり、仮に主張をしたとしても「低減されたDeta量」でなければ「過負荷」にしかならず、アーティストのパフォーマンスや来場者様の観賞に支障をきたす要因となります。
「観る者⇔演じる者」の関係性に干渉し過ぎない(ステージBuildの)立ち位置をキープ出来るかどうか、更にいえば、そこでは「Setsuna Infinity製作」であるかどうかなんて事はどうでもいい(笑)
(こう思っていても、無くて七癖、色(カラー)なんて勝手に出ちゃうのがデフォルトです。)
  
これらの点は、今後も継続して保たねばならない「重要なSL内Buildの骨格」であると考えています。
極論すれば「背景化(Second Lifeの背景その物になる、溶け込む)」するクリエイトが「最強」です。
これを目指し、適切な実装となるよう、心がけています。
  
   
 (三).自由度と汎用・拡張性の確保。
  
アーティストのパフォーマンスに自由度を持たせるための工夫や、関係者が共通して操作する事が可能なステージギミックの構築にも留意しています。
前者にはステージの広さの設定、メンバー各自の立ち位置の想定をしやすいような一定の誘導の設定等があり、GA-GO SL Ver.のもつイメージやその各曲のメッセージ性、曲別の盛り上げポイントを理解した上での構築、という非常に基本的ではありますが、容易には実践出来ない領域に踏み込んだ物となっています。
リハーサル、事前打ち合わせがどれほど大事なモノになるかはこれでお分かりいただけるかと思います。
    
先ほどの(二)の内容も踏まえた上で、ステージの骨格部分を構築する事になる訳ですが、LIVEのリピーター様にも、毎回異なるステージを提供できるよう開催されたLIVEでの反省点や、来場者様視点での観賞/検証を元に、自発的に積極的な提案を盛り込むようにしています。
他のBuilder様方には体験出来ない部分を継続して体験させて頂いている点においても、私自身に非常に有益な場となっています。
過去、私自身がGA-GO SL Ver.のLIVEにて楽屋兼機材操作ブースから演出機材操作を行っていた経験から反映出来ている面も大きいですね。
  
GA-GO SL Ver.のようなライブパフォーマンスをSecond Life内で行う場合、演者Avatarとは別に、演出を担当する人材は、TAKUMA氏本人も各所で述べているように必須です。
これまではそういった演出にこだわりを持とうと思う人は一部を除き現出していませんでしたし、こだわりを持ったとしても「自身の身は一つ」なので、当然、Avatarを含む「操作」が大きな負担になり、臨場感のあるLIVE(リアルLIVEの様な)を実現する事はほぼ不可能でした。
これを解決するのが「演出担当人材」になるわけです。
しかしこの際、大きな壁となって立ちはだかる、SL内での問題点として、一般的な販売物/製作物の多くが、製作者と購入者/使用者1対1の関係で成立するものである、点が挙げられます。
 
パーミッション(権限設定)と呼ばれる
「製作者のSL内著作権の保護」を主目的としたレギュレーションは、第三者による操作や改変を、概ね、善しとしません。
中には操作権限のパブリック/グループ設定を行える販売物も存在しますが、非常に限定されると言ってよく、SL内活動を行うアーティストにとって「独自の表現の実現を妨げる大きな要因」ともなっています。
アーティスト本人が、採用につなげたいと考え得る機材であり、且つ第三者(操作者)にも共通して操作が可能なもの、となると
アーティスト本人が自ら製作するか、契約関係ではない「協力が可能なクリエイター」をアーティスト本人が探し、協力を仰がなければいけない事になる場合が殆どです。
また、仮に協力を得られた場合でも、(SLの基本的な市場システムが上記1対1の関係であるが故に)SL内クリエイターには、自身の著作権やスキルの漏洩の危惧を優先する判断をする者も多い事を、アーティスト側は認識しておく必要があります。
  
チームワークによる成果品の相乗効果を双方が体験出来ないまま、WIN-WINの関係に昇華しきれずに終わっていった事例は多々存在します。
GA-GO SL Ver.では、現在、照明機材の選択実装・操作に、るな(Velna Mint)さん、パーティクルをはじめとする特殊効果の選択実装・操作に、虎アーク(Ark Foden)さん、私とは別の観点からStage建築に特化した製作・実装が可能な、みほ(miho Wingchips)さん、といった「経験値の非常に高い」メンバーが参画していますので高次元での融合状態を得ていると思いますが、協力アバターが自在に操作出来る機材の充実は、今後GA-GO SL Ver.のステージBuildを担当していく上でもBuilderとして今後私が関わることになる多くの施主様方のためにも、急務且つ継続的に進行させる必要があると認識しています。
  
  
非常に長くなってしまいましたが…  上記項目に一貫して言えるのは、「SLの特性を理解し、生かすことが出来るように常日頃から留意し、それを実装物に反映させる事を積み重ねる。」という事です。
  
昨年(2011年)後半より進行させました「G-DOME」でのLIVE及びその映像化に関しては、これまで以上に、各方面への協力要請を優先し、関係者全員の現在までの「SL内活動で培ってきた個人の力」を活用出来るよう、前もって「場」を設定する事を、心掛けました。
仮想空間内に於いて、こういった「場」を設定する事が可能である事実は、建築学的観点のみならず、ソーシャルネットワーク観点からも非常に興味深い物になっていてSLの活用といった非常に難しいリアル命題に対しても一つの解答を提示する事が出来たのではないかと考えています。
  
照明・演出の詳細については、別途記事を参照して頂きたいですが、基本的には、成果物が GA-GO SL Ver. の目的とするエンターテイメント性と合致しているかどうか、を主眼に、SL内市場にて流通している製品から取捨取択していけば良いと考えていて(無い場合は製作すればよい)、同じ様に参加しているメンバーとのコンセンサスも一定以上は図れていると思っています。
  
    
■今後の抱負などあれば教えて下さい。
  
3D Virtual World の面白さを、Second Life内に既におられる方にはもちろん、既に見限って(?)離れられた方、古い認識のままおられる方、まだご存じないという方にも、「あれっ?コレ…」と気にして頂ける様に色々と仕掛けていきたいと思っています。
非常に簡単な言い方になってしまっていますがw
内容は先ほど長々と述べさせて頂いた項目内にまぁほぼ無限に存在するのでやりつくすって事は今後もないでしょう。
  
ありがとうございました。
 The Evolution of GA-GO Vol.7 

本文注釈
※1:PathFinding(パスファインディング。直訳すると「経路探索」。)
主にはSIM鯖上で演算される新機能。
スクリプトエージェント(BOT)やオブジェクトの自動動向経路を比較的簡単に設定出来たり、土地形状をMesh面としてデータ化し、それらの判定に利用する等、これまでのSecond Life内には無かった「引用データ」を含んだシステムの総称(?)。
当然、「無かった物」が追加されている為、バグ出現→デバッグの流れとなり、度重なるサーバーバージョンのUPグレード、場合によっては差し戻し等も行われる事になった。
本文でも述べている様に、SIM間通信や物理計算を伴うインワールド実装物への影響は特に多大。
2013年1月現在も、多岐にわたる微小なバグや関連性の不明瞭な現象は残存中。



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Posted by GAGO at 21:17│Comments(0)The Evolution of GA-GO
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